表面符号で各サイクルで使われる回路は何を表しているのか【量子計算】

Oct. 9, 2023, 10:18 a.m. edited Oct. 21, 2023, 3:02 p.m.

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量子エラー訂正で用いられる表面符号において、 \(X\), \(Z\) スタビライザー測定のために使われる 2 つの回路が存在する(なお、測定は \(Z\) 測定とする)。

前者は \(X\) スタビライザー測定、後者は \(Z\) スタビライザー測定に使われる回路で、これにより量子状態はスタビライザー状態として安定化される。しかし、この回路によりなぜ安定化されるのかは調べてもなかなか出てこなかった。そこで考えてみると、次のシンプルな理由であった。

安定化される理由

固有値 \(+1\) のエルミート演算子 \(A\) の固有空間への射影演算子は

$$\frac{I+A}{2}$$

として表され(藤井先生の資料 p.49 参照)、その回路は次のようなものである。

すると、 \(X\) スタビライザー測定回路をみると、確かに \(X_aX_bX_cX_d\) の固有状態への射影になっていると納得できる。(\(\mathit{CNOT}\) の先は \(X\) だから)

一方、一見すると \(Z\) スタビライザーはその法則に従っていないように見える。しかし、 \(\mathit{CZ}\) と \(\mathit{CNOT}\) の関係

を利用すると、次のように回路が変形でき、確かに \(Z\) スタビライザー測定回路となることがわかる。