意識の各理論について軽くまとめ

Oct. 23, 2022, 11:17 a.m. edited Oct. 23, 2022, 11:52 a.m.

#情報理論  #意識 

意識とは何か、どのように発生するのか、など意識には色々なレベルで色々な問題があると考えられている。それらに対する解決のアプローチや理論はいくつか存在し、ここではそれらをざっとまとめる。

グローバル・ワークスペース理論

脳の各モジュールでは様々な情報処理がおこなわれている。この段階では無意識に過ぎないが、これらの情報を他のモジュールでも扱えるようグローバルな領域(これをグローバル・ワークスペース)に上げるときに意識の俎上に上がるとみなす。

日本語の参考文献として、脳科学辞典の当該項目や、 Araya による説明がある。

意識の統合情報理論(Integrated Information Theory; IIT)

意識が満たすべき性質:情報、統合、排他、構造、を考え、これらを満たすような情報量を意識とみなす。この理論では、その情報量を統合情報量とする。

具体的には、内的情報量としてシステムの過去の状態 \(X^{t-\tau}\) と現在の状態 \(X^t\) の間の相互情報量 \(I(X^{t-\tau};X^t)\) を考える。

$$I(X^{t-\tau};X^t)=H(X^{t-\tau})-H(X^t)$$

ただし、 \(H(\cdot)\) はそのシステムのエントロピーを表す。

ここで、そのシステムのネットワークを 2 つに切断すると、相互情報量は変化するであろう。この変化する相互情報量を \(I'(X^{t-\tau};X^t)\) とする。そこで、統合情報量はシステムの分断されにくさを表してほしいとの考えから、統合情報量 \(\Phi\) は

$$\Phi=\min_{I'} \mathrm{KL}(I(X^{t-\tau};X^t)||I'(X^{t-\tau};X^t))$$

と表される。ただし、 \(\mathrm{KL}(\cdot||\cdot)\) は 2 つの分布間の KL ダイバージェンスを表す。

日本語の参考文献として、大泉さんのシンギュラリティサロンの資料や、人工知能に載った記事がある。