Outer Wildsに出てくるブラックホールを数式で記述する

May 25, 2022, 3:43 p.m. edited July 19, 2022, 2:54 p.m.

#Outer Wilds  #相対論 

工事中

前は量子をやったので、今回はブラックホールを記述するのが目標。特殊相対論から、リーマン幾何学を用いて一般相対論を導入し、最後にブラックホールを記述する。

特殊相対論

相対論(相対性理論)は特殊相対論と一般相対論に分けられ、重力が出てこない簡単な方が特殊相対論、重力が出てきて空間が曲がるようになる方が一般相対論となる(ゆえに、一般相対論に特殊相対論が含まれるといって良いはず)。そこで、まずは特殊相対論を導入する。

特殊相対論で要請される原理は

  1. 特殊相対性原理:物理法則はすべての慣性系で同じ形で表される
  2. 光速度不変の原理:光の速さはすべての慣性系で同じ値である

の 2 つである。この 2 つが要請されたときにニュートン力学では不十分なことがあることを示す。

はじめに 2 つの座標系 \(\mathrm{S}\), \(\mathrm{S}'\) を考える。 \(\mathrm{S}'\) が \(\mathrm{S}\) に対して \(x\) 軸方向に速さ \(V\) の等速で移動していると、ニュートン力学の考え方では、 \(\mathrm{S}'\) の座標 \(x'\) は \(\mathrm{S}\) の座標 \(x\) を用いて

$$ \left\{ \begin{align} x'&=x-Vt \\ t'&=t \end{align} \right.\tag{1} $$

と表される(これを Galilei 変換という。 \(y,z\) については変わらないので省略)。

ここで、物理法則として電磁波の方程式の電場 \(\pmb{E}\) や磁場 \(\pmb{B}\) にかかる演算子

$$\frac{\partial^2}{\partial x^2}+\frac{\partial^2}{\partial y^2}+\frac{\partial^2}{\partial z^2}-\frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2}\tag{2}$$

を考える。ここで、 \(c\) は光の速さである。この方程式は 1. 特殊相対性原理 より、 2 つの座標系(慣性系)で式 (2) は同じ形になるはずである。これを式 (1) の変換で確かめてみる。

式 (2) に出てくるそれぞれの微分演算子は式 (1) により

$$ \left\{ \begin{align} \frac{\partial}{\partial x}&=\frac{\partial}{\partial x'} \\ \frac{\partial}{\partial t}&=-V\frac{\partial}{\partial x'}+\frac{\partial}{\partial t'} \end{align} \right. $$

となる(偏微分の座標変換の参考)。これを式 (2) に代入すると

$$\frac{\partial^2}{\partial x'^2}+\frac{\partial^2}{\partial y'^2}+\frac{\partial^2}{\partial z'^2}-\frac{1}{c^2}\left(V^2\frac{\partial^2}{\partial x'^2}-2V\frac{\partial^2}{\partial x'\partial t'}+\frac{\partial^2}{\partial t'^2}\right)$$

となり、式 (2) と同じ形にならない。したがって、ニュートン力学として慣れ親しんだ Galilei 変換では特殊相対性原理を満たすことができない。

そこで、

$$ \left\{ \begin{align} x'&=\frac{x-Vt}{\sqrt{1-V^2/c^2}}\\ t'&=\frac{-Vx/c^2+t}{\sqrt{1-V^2/c^2}} \end{align} \right.\tag{3} $$

という変換を考えてみる。すると

$$ \left\{ \begin{align} \frac{\partial}{\partial x}&=\frac{1}{\sqrt{1-V^2/c^2}}\left(\frac{\partial}{\partial x'}-\frac{V}{c^2}\frac{\partial}{\partial t'}\right)\\ \frac{\partial}{\partial t}&=\frac{1}{\sqrt{1-V^2/c^2}}\left(-V\frac{\partial}{\partial x'}+\frac{\partial}{\partial t'}\right) \end{align} \right. $$

となるので、式 (2) に代入すると

$$ \begin{align} &\frac{1}{1-V^2/c^2}\left(\frac{\partial^2}{\partial x'^2}-2\frac{V}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial x'\partial t'}+\frac{V^2}{c^4}\frac{\partial^2}{\partial t'^2}\right)+\frac{\partial^2}{\partial y'^2}+\frac{\partial^2}{\partial z'^2}-\frac{1}{c^2}\frac{1}{1-V^2/c^2}\left(V^2\frac{\partial^2}{\partial x'^2}-2V\frac{\partial^2}{\partial x'\partial t'}+\frac{\partial^2}{\partial t'^2}\right)\\ =&\frac{\partial^2}{\partial x'^2}+\frac{\partial^2}{\partial y'^2}+\frac{\partial^2}{\partial z'^2}-\frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t'^2} \end{align} $$

より、式 (2) と同じ形となる。この変換(式 (3))を Lorentz 変換という。

この Lorentz 変換はなかなか見慣れない変換に思えるが、物体の移動する速さが光の速さよりもはるかに遅い場合は見慣れた変換に近似されるはずである。実際に、 \(V\ll c\) のとき

$$ \left\{ \begin{align} x'&=\frac{x-Vt}{\sqrt{1-V^2/c^2}}\sim\frac{x-Vt}{\sqrt{1-0}}=x-Vt\\ t'&=\frac{-Vx/c^2+t}{\sqrt{1-V^2/c^2}}\sim\frac{0+t}{\sqrt{1-0}}=t \end{align} \right. $$

と、慣れ親しんだ Galilei 変換となる。したがって、物体の移動する速さが光の速さに近づくと、時間と空間が混ざり合って変換されるようになるということである。この例として、粒子の寿命と移動する距離の話を以前書いた(この例では逆変換を用いている)。

問題: 空間的にも時間的にも長距離の移動を可能とした師弟の名前は?(師匠・弟子の順番にスペース空けずに続けて、すべて小文字で。〇〇△△△みたいな感じに)

ここから先は Outer Wilds ネタバレ要素が入ってくるので

hogehoge

その他の例として、主人公くんの探査艇を考える。この探査艇はいつまでも加速できるが、 22 分以内では \(-7\times 10^4\ \mathrm{m/s}\) 程度が限界であり、到底光の速さには及ばない(「試す価値はあった。」)。そこで、仮に Slate により強力なジェットを作ってもらい、光速 \(c\sim 3.0\times 10^8\ \mathrm{m/s}\) に係数 \(a=0.998\) を掛けた速さ \(ac\) まで加速できるようになったとする。このとき、主人公くんが速さ \(ac\) で星系から一直線に脱出を試みると、灰の双子星で \(t=22\) 分経つまでに主人公くんが過ごす時間は

$$ \begin{align} t'&=\frac{-Vx/c^2+t}{\sqrt{1-V^2/c^2}}\\ &=\frac{-ac\cdot act/c^2+t}{\sqrt{1-(ac)^2/c^2}}\\ &=\frac{1-a^2}{\sqrt{1-a^2}}t\\ &=\sqrt{1-a^2}t\\ &\sim 0.0632 \times 22\ \mathrm{min}\\ &\sim 1.39\ \mathrm{min} \end{align} $$

となり、たったの 1.4 分しかなくなってしまう。ゆえに、ほぼ光の速さで動くような星や遺跡がなくて良かったなぁという感想が得られる。

ここで、物理法則の例として電磁波の方程式を挙げた際、演算子のみ考え、電場や磁場を掛けた \(=0\) となる方程式自体を考えなかったのは、







一般相対論

特殊相対論では考えなかった、重力を考慮すると一般相対論となる。

piyopiyo