線虫C. elegansで実験していたときのうろ覚え

Aug. 19, 2023, 2:32 p.m. edited Aug. 19, 2023, 2:45 p.m.

学部 4 年の頃、線虫 Caenorhabditis elegans (C. elegans) で神経科学の実験をしていたことがある。今はもうドライ、つまり計算機しか使っていないのであのときのことはうろ覚えだが、今書いておかないと完全に忘れてしまう気がするので書いておく。おそらくこれを他の人が読んでも何も得られないと思うが、それでも自分のために書いておく。

なぜ C. elegans

302 個の神経細胞のつながり(コネクトーム)がすべて明らかになっているモデル生物だから。あの頃はそういう生物は C. elegans だけだったけど、今もそうなのかな?

飼育

彼らは大腸菌を食べる。 OP? 50 だかなんだかの大腸菌を食べていたはず。(ほらもう曖昧)ゆえに、それを寒天の上に塗ってプレートを作成する。

そのプレート表面に線虫を住ませる方法は 2 通りある。 1 つ目、既に活動中の線虫がいる場合は継代をする。つまり、他のプレートから新しいプレートに 2 匹ほどの線虫を移すのだ。この際、火で消毒した白金線で線虫の胴体をさらってヒョイっと移すのがコツである。慣れないうちは寒天プレートを粉々にしがちである。(普通はそうならない?不器用だとなるんですー!)

2 つ目、冷凍保存している線虫を解凍する。やり方?なんだっけねぇ…。

あとは放っておけば勝手に増えていく。確か 1 週間も持たずに寒天プレート表面が覆い尽くされてしまうので、適当なタイミングで継代していく必要がある。継代もやりすぎると遺伝子がおかしくなるので注意。(それでも何十回もやっちゃってた気がする。そんなことなかったか?)

あと、たまにカビるので、そしたら、まあ、捨てるしか…。

このへんのやり方はなんかの作業?論文にまとまってる。タイトルは忘れた。

遺伝子導入

まずは導入する遺伝子を準備する必要がある。プラスミドの形で作ってやればよくて、そこに目的の遺伝子を入れてやる。なんか、その、切って貼って、ていう有名な手法があるじゃん?それをやる。もしくは、業者から買う。

そうして手に入った遺伝子は非常に量が少ないので、こいつを精製して、そして増やす必要がある。そのためにやはり大腸菌を利用する。あいつらまじ万能なので。抗生剤耐性のある大腸菌でなんやらかんやらして入れた遺伝子を増やし、あとは役に立った大腸菌を分解して、中身の遺伝子を取り出す感じだったはず。

そして、最後の難関、マイクロインジェクション。固定した線虫の卵巣にほっそい注射針を刺して、そこから遺伝子を入れてやる。そもそも固定するのも難しいし、刺すのも難しいし(雑にやると・雑にやらずとも、注射針は普通に折れて飛びます。めっちゃ危ない)、入れすぎると爆発するし、もうやだ。しかも、あいつら透明だからどこが卵巣なのかもいまいちわからん。勘でやってた。

その後、運がいいと、遺伝子を発現した線虫が、その子孫として現れる、というわけ。

終わりに

あのときやってた研究、結局、外部に発表する論文にも何にもならなかったので、忘れないように。ここに書いたことはその界隈では有名なものなので、特に問題はない。(そもそもこれ読んでも何の役にも立たないだろう)